展覧会情報

コレクション展

高原の風趣-3-

《霧ヶ峰》1941年

《霧ヶ峰》1941年

《グラナダの丘》1956年

《グラナダの丘》1956年

《春容》1960年

《春容》1960年

《落葉もやし(ミレーの絵の模写)》昭和初期

《落葉もやし(ミレーの絵の模写)》昭和初期

《霧ヶ峰》1941年
《グラナダの丘》1956年
《春容》1960年
《落葉もやし(ミレーの絵の模写)》昭和初期
会期 2020年2月4日(火) 〜 2020年7月26日(日)
会場 田村一男記念展示室

田村一男は1904年、現在の東京都中野区に生まれ育ちました。画家を志し、20歳を過ぎて訪れた信州・蓼科高原の雄大さに感銘を受け、日本の風土――とくに高原風景――を主題に92歳で亡くなるまで描き続けました。田村の作品は、写実的な風景画とは一線を画し、田村自身を画面に投影したかのような「孤高」と「清廉」をまとった、山の肖像画と呼べるような風情をそなえています。それは、厳冬期であっても野外での作品制作を続けていた田村だからこそ、自身の目と耳と肌で感じ、心でも感じた自然の態様を表現することができたのでしょう。

田村作品の特徴のひとつにマチエール(絵肌)があげられます。初期には軽やかな筆さばきの風景画を描き、ヨーロッパでは明るい色調の作品も手がけています。帰国後は日本の風景をいかに油彩画の技法で表現するか、ローラーやパレットナイフ、チーズ削りまでも使用し独特の表現を模索していきます。今回の展示では、その絵肌に注目してセレクトしています。

田村作品の多様な絵肌の変遷から、日本の原風景に思いを馳せ、作品と対話していただけたら幸いです。